【コラム】上手な予算配分で、理想の家を建てましょう
カントリーキッチンを作りたいけど予算が...家を建てる際には予算配分が大切です。
予算を削れるところ、最初から予算をかけておいたほうが良いところ、についてプロの視点でご紹介します。上手な予算配分で、理想の住まいを実現してください。
● 20以上の予算項目を上手に配分
家を建てるとき、とても重要なのが予算組みです。家づくりの項目は20項目以上ありとても多いです。細かい金額の積み重ねが新築にかかる総工事費となります。
予算組みはとても難しいものです。皆さんの中でカントリーが好きなのに、予算の関係で夢だったカントリーキッチンをあきらめている人もいるのではないでしょうか?
上手な予算配分をすることで、新築工事にカントリーキッチンやパインのフローリングなど、大好きなカントリーライフを実現することは十分に可能です。それではこれから、上手な建築工事の予算組みをお教えします。
● 後からできる外構工事は、思い切って後回しに
後でできる工事は新築時に作らなくていいと思います。思い切った考えですが、限られた予算中で希望どおりの家にするには、後でいいものは将来のリフォーム工事にして下さい。
例えば外構工事です。境界の塀などはベースとなるブロックやコンクリートの基礎だけにしておいて、上部のフェンスは思い切って後の工事にしてしまいましょう。敷地に広さにもよりますが、30万円以上のコスト削減が可能だと思います。
このようなやり方は中途半端かと思われる方もいるかもしれませんね。でもそうでもないですよ、映画などに出てくる、アメリカの家を思い出してください。日本の家みたいに四方塀で囲うなんてあまりしていませんね。敷地周りの風通しが良くなり、家にとっても良いことです。家が湿気るとシロアリ被害にあう恐れがありますからね。
● 内装工事でもコストダウン
内装工事では、クロス(壁紙)にちょっとした注意を払うことでコストダウンが可能です。
1. 各部屋なるべく統一する。
2. 柄物を使わずに無地を選ぶ。
材料の平米単価が同じでも、柄物は柄あわせが必要で2割ぐらい無駄が出る場合があります。カントリーハウスには花柄などのクロスも似合いますが、予算を他にかけたいところがあれば、ここはグッと我慢して予算をまわしてください。クロスは張替えもできますしね。
● 外装・構造関係 部位別予算配分決定のポイント
それではどこにお金を掛けて、どこに掛けなくて良いかお話します。
まず可能な限りお金を掛けてほしい箇所です。メンテナンスがあまり必要でないもの、つくりの良いものを選んでください。
●屋根・・・瓦、ステンレス、アルミ
※注意1:
瓦は漆喰が必要な物もあります。漆喰はひびが入ったり剥れたりしたら塗り直しが必要です。雨漏りの恐れがありますので早めに塗り直して下さい。
※注意2:
セメント製の瓦は経年劣化します。焼き瓦の選択がお勧めです。
●外壁・・・サイディング、モルタル、ALC、タイル、レンガなど
外壁の種類はサイディング、モルタル、ALC、タイル、レンガなどがあります。この中で特にメンテナンスがあまり必要でないものは、タイル、レンガ、サイディングです。しかし、サイディングは窓周りや継目にシール剤が必要です。どうしてもその部分が経年劣化します。サイディング自体の収縮により継目のシールがひび割れることがあります。ひび割れると雨水が浸入する恐れがありますので、早めに打ち変えたほうがいいですね。
タイルとレンガは雨水が浸入するようなひび割れが無い限り安心です。
●基礎・地盤
基礎と地盤はとても関係深いものです。お互いがバランスよくなるように計画します。地盤調査するのは今の時代当たり前であり、義務図けられています。その地盤調査の結果に基づき、杭工事や地盤改良工事をし、その地盤に合った基礎をつくります。
地盤の状態が良好であれば、べた基礎にする必要は無く布基礎で十分です。
●骨組み(木構造)
よく「オール4寸角」とか「総檜作り」と宣伝している会社がありますが、一般住宅に、私はそんなものを使う必要は無いと思います。在来工法の一般住宅の柱は「3寸5分角」で十分です。2×4の家を見てください。柱は無いですし、構造材の巾は9センチしか有りません。まして今の在来工法の家は2×4のように外壁に構造用ベニヤ板を張っています。
柱の材質ついても同じ考えです。檜の柱と集成材の柱でどれだけ強度が違うのでしょうか、かえって集成材のほうがJAS規格に基づいて強度検査をしているので安心ではないでしょうか。もちろん価格も安いです。
家の強度を考えるのならば柱の材質や大きさではなく、家の形のバランス良さ、筋交い(すじかい)の入れ方など耐震的なことを考えてください。
● 内装関係 部位別予算配分決定のポイント
●床・・・内装で特に大事なところ
内装で特に大事なところは床です。床の骨組みとその上に貼る床材です。家の中で一番最初に劣化してくるのが床だからです。
床はいつも人が歩いたり、物を置いたりして、家の中で一番大変な役目を負っています。床の骨組み材を大きくしたり、その上に貼る床材を厚くするのは床を長持ちさせる上でとても効果的です。
新建材のフローリングの安価なものは、表面材が弱く劣化するのがやはり早いようです。少し無理をしても表面材の厚いものや、樹脂でコーティングされているものを選ぶことをお勧めします。やはり、できれば無垢の床材がいいですね。パインのような柔らかい木でも床自体の厚みがあるので長持ちします。そしてキズなどの修理も簡単です。
ナラなどの広葉樹の床材は硬くキズは付き難くとても高級感があります。硬い木は表面が冷たく感じるものです。パインの床の温かさには勝てませんが、それでもベニヤのフローリングに比べればとても暖かいです。
●その他の内装部分
ごく普通のものを使ってください。
でも1箇所だけ気をつけて欲しい場所があります。リビングだけでもいいですからドアは最初から気に入ったものを付けてください。
リフォーム工事でもドアの取替えはできますが既存の壁を壊す場合があり大工事になります。ドア自体の寸法が違うからです。壁を切ったりするようになると工事費が高くなるので、最初から少し無理してでも気に入ったドアを付けてください。
● キッチンにかける予算配分のポイント
キッチンにもピンからキリまであり、上を見たらいくらお金があっても足りません。
でも待ってください。分譲住宅などの場合、標準品はスタンダートタイプのものがほとんどです。標準品のスタンダートタイプのものがほとんどです。そのような物でも、少なくとも30万円ぐらいの予算は見ているはずです。その標準品のキッチンで我慢して使うのもしょうがないかも知れませんが、女性にとってキッチンはマイルームではないでしょうか?
せっかくのマイルームが思うような部屋でなかったらちょっとさびしい気がします。ましてせっかくの新築の家なのに。
また、「お金が貯まったら、後からカントリータイプにするから」という人がいると思いますが、水周りのリフォームは他のリフォーム工事に比べて割高になるので、予算を上手く振り分けて、ぜひご希望のカントリーキッチンを最初から設置することをお勧めします。
● 予算配分のポイントまとめ
予算を特に重点的に配分して欲しいのは、屋根・基礎 地盤・床 ・リビングのドア(外壁はタイルやレンガが理想ですが少し高価なのでできればということにします)です。
この4つにできる限りの予算を掛けてそのほかはごく普通のもの、極端に言えば一番安いものでいいかもしれません。後はセンスのいい施工店を探して、安くてよいものを選んでバランスのいい家を建ててください。
上手な予算配分で、カントリーキッチンやパインのフローリングなどご希望のカントリーハウスを実現して下さい。
(カントリー工房代表:鈴木 浩)
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